肺炎球菌ワクチン

12月 21st, 2011 by 曽野医院 Leave a reply »

テレビのコマーシャルの影響もあり、最近は肺炎球菌ワクチンへの関心が高まっています。肺炎は日本人の死因の第4番目に位置し、65歳以上の高齢者を中心に年間約9万人以上が亡くなっています。(肺炎による全死亡者数の95%が65歳以上です。)70歳以上の方が罹る肺炎の起因菌で第一位を占めるのが肺炎球菌です。また循環器や呼吸器に慢性疾患(高血圧症、心筋症、狭心症、心不全、肺気腫、気管支喘息など)を持つ患者様、腎不全、急性、慢性肝炎、脂肪肝、肝硬変などの肝臓病、脾臓機能不全、糖尿病などの患者様では、肺炎などの感染症にかかり易く、病状も重くなる傾向があります。病状が急速に悪化した場合、抗生物質などによる治療にも拘わらず、死に至る可能性が高いと言われています。今はまさにインフルエンザのシーズンですが、高齢者がインフルエンザになった場合、約25%の方が細菌性肺炎を合併すると言われています。

肺炎球菌は健常人の鼻腔や咽喉粘膜にも見つかることがありますが、発症することは少なく、病気、疲労、日常生活の不摂生や加齢などで免疫力が弱くなった時に悪さをします。肺炎球菌が引き起こす主な病気としては、肺炎、気管支炎などの呼吸器感染症や副鼻腔炎、中耳炎、髄膜炎、敗血症などがあります。

肺炎球菌ワクチンとはこの肺炎球菌を狙った予防ワクチンです。肺炎球菌ワクチンは多価ワクチンであり、肺炎球菌の83亜種のうち、特に毒性の強い23種からの抗原を含みます。接種してから免疫(抗体)ができるまで、平均でおよそ3週間かかります。1回の接種で5年以上免疫が持続すると言われています。季節を問わず接種可能です。但し、肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌以外の原因による感染症に対して予防効果はありません。

肺炎球菌ワクチン接種後の副反応(副作用)としては、注射部位の腫れや、痛み、軽い発熱、倦怠感、筋肉痛がみられることがありますが、いずれも一過性で、日常生活に支障が出るほどのものは少なく、2~3日で治まることが多くのデータにより確認されています。2歳以上の脾臓摘出を受けた方は健康保険が適用されますが、それ以外の方は原則的には自費診療となります。(地域によっては公費負担の場合があります。)

現在東日本大震災の被災地では公費負担による予防接種が行われていることや接種希望者の殺到の関係上、肺炎球菌ワクチンは品薄になっています。予防接種を希望されても直ちに対応ができない場合がありますので、必ず医療機関にご確認下さい。

医療法人 社団  曽野医院

肺炎球菌ワクチン

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