葉酸

5月 10th, 2010 by 曽野医院 Leave a reply »

「葉酸」は、豆類や、ほうれん草などの緑黄色野菜に含まれる水溶性ビタミンB群の一種です。ビタミンB12とともに、造血作用があることが特徴で、赤血球をつくる作用のみならず、代謝に深く関与し、タンパク質や核酸の合成に作用して細胞の生産や再生を助け、体の発育を促進し、細胞が新しくつくり出される時に必要な栄養素です。

日本ではまた広く知られていませんが、高齢者の認知症や脳卒中を予防する効果があることが、アメリカなどの調査で明らかになりました。10年前、アメリカでは、穀物への葉酸添加が義務付けられ、そのおかげで、脳卒中の死亡率が急速に低下したそうです。

1998年、アメリカの食品医薬品局(FDA)は、主食となる穀類への葉酸を添加することを義務付けました。これにより、新生児の二分脊椎のような「神経管欠損障害」がおよそ2割減少しました。(2001年の報告)

アメリカ以外の国で穀物への葉酸添加を実施しているのは、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどで、いずれの国でも、神経管欠損障害の発生頻度を大幅に減らす成果をあげているそうです。

葉酸の摂取は、新生児に対してだけでなく、高齢者に対しても多大な恩恵をもたしてくれることが明らかになったのです。アメリカは、葉酸の摂取を推進することにより、1998年以降、脳卒中による死亡率を、10万人中180人から150人にまで減少させました。

更に、1998年以降、アメリカ国民の血中のホモシステインが減少したこともわかっています。葉酸やビタミンB12、ビタミンB6はアミノ酸の一種であるホモシステインの産生を抑制することが知られています。ホモシステインの血中濃度が高くなると、認知症や動脈硬化症のリスクが高くなるそうです。(これらのビタミン摂取による血中ホモシステイン値の低下が、虚血性心疾患の予防につながると大きな期待も持たれています。)葉酸の摂取は、ホモシステインを減少させ、動脈硬化や認知症を予防してくれるわけです。

日本国内に目を転じると、まだ「葉酸」の必要量を十分に摂取できていない状況にあります。高齢になってからだと「葉酸」は吸収されにくくなります。脳卒中や認知症の発症を防ぐためには、若いうちから「葉酸」の摂取に努めた方がいいかも知れません。

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