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癌や生活習慣病と喫煙の因果関係

9月 16th, 2016

癌や生活習慣病と喫煙の因果関係

厚生労働省は8月31日、「喫煙の健康影響に関する検討会報告書(たばこ白書)案」を15年ぶりに改訂し公表しました。

疫学研究などのシステマティックレビューを行い、たばことさまざまな疾患との因果関係を4段階で評価した結果をまとめました。

因果関係が推定するのに十分な証拠がある(確実)のは以下のものです。

① 肺、口腔・咽頭、喉頭、鼻腔・副鼻腔、食道、胃、肝臓、膵臓、膀胱および子宮頸部の各種癌。

②     肺癌患者の生命予後の悪化

③     癌患者の二次癌罹患

④      嗅ぎたばこよる発癌

⑤      脳卒中、虚血性心疾患、腹部大動脈瘤などの循環器疾患

⑥       COPD(閉塞性肺疾患)、呼吸機能低下、結核による死亡などの呼吸器疾患

⑦       2型糖尿病の発症(量反応関係を認められ、機序としては、炎症、酸化ストレス、内皮機能障害による耐糖能の悪化、ニコチンによるインスリン抵抗性の亢進など)

⑧      歯周病

⑨      受動喫煙による肺がん、脳卒中、虚血性心疾患の罹患

⑩      小児の受動喫煙と喘息の既往

⑪      妊婦の能動喫煙および小児の受動喫煙と乳幼児突然死症候群(SIDS)との関連

報告書では喫煙による年間死亡者数は、世界では能動喫煙により約500万人、受動喫煙により約60万人と報告されており、日本ではそれぞれ約13万人、約1万5,000人(肺癌、虚血性心疾患および脳卒中による死亡)と推計されています。

厚生労働省は日本の受動喫煙防止対策や脱たばこ対策は、2014年時点で国際的にも最低レベルと指摘し、国を挙げた対策の実施が必要としています。